バルチック海運指数は株価の先行指標
株価は景気の先行指数といわれていますが、その株式投資を行っている場合はその株価に先行する指標も気になります
その先行指標のうちのひとつと言われるの指標がバルチック海運指数です
バルチック海運指数とは
バルチック海運指数(BDI:Baltic Dry Index)は、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数です
バルチック海運指数は鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する不定期船の運賃について、世界各国のおよそ20の主要水域を通る貨物船を対象に海運会社やブローカーなどから聞き取った結果を取りまとめて算出されます
基準となる1985年1月4日を1000としています
当然ながら海運株はこの指数との連動性が高く、コモディティの先行指標としても見られているようです
そしてグローバルな取引が活発な現代においては輸出入の動きは景気動向と関連性も高く株式全般の先行指数としても注目されています
限られた貨物のしかも不定期船の運賃指数なので市場全体との連動は薄そうですが、鉄鉱石や石炭はビルなどの建築物や自動車などの大型耐久消費財の部材や加工に使われます
これらの需要が高くなるとスポットの用船需要があがり、結果運賃も高くなるという流れを考えると、ある程度は相関性がありそうです
実際にバルチック海運指数と米国株式主要指標であるS&P500の比較チャートを見ていきます
バルチック海運指数チャート~長期
https://jp.investing.comデータより作成
2001年からのデータを元に作成した月次チャートです
S&P500(右軸)と比較対数表示です
長期で見ると連動性は分かりにくいですが、下落時は2008年リーマンショック時と2015年チャイナショック時においてバルチック海運指数がやや先行して下落が始まっているように見えます
回復期おいても2002年のドットコムバブルからの回復、2009年リーマンショックからの回復時にはそれぞれバルチック海運指数が先に回復しているように見えます
スポットの不定期船の運賃のためか、長期的チャート見ても関係性、先行度合いが分かり難いですね
もう少し短期のチャートではどうでしょう
バルチック海運指数チャート~直近2年短期
https://jp.investing.comデータより作成
2017年からの週次チャートです。対数表示していますが時間軸は同じです
短期チャートで見ると長期と比較して先行度合いが分かり易いように思います
赤矢印でピークを見ると1~2ヶ月ほどバルチック海運指数が先行しているように見受けられます
特に昨年2018年2月および10月の2度の大きな株価急落時前にはバルチック海運指数も下落しています
それらを踏まえて最後の4本目の矢印を見ると怖いですね
一応警戒していてもよさそうです
バルチック海運指数まとめ
- バルチック海運指数は海運株やコモディティの先行指標のひとつ
- バルチック海運指数は世界経済や株価に先行指標のひとつとも見られる
- 株価には複雑な要素が影響する為あくまでも目安
- 気象天候の影響も受ける
バルチック海運指数が株価の先行指標のひとつとみるのは週次短期チャートを見る限りは納得できる側面もありますが、あくまでも指標のひとつに過ぎず盲信は危険です
株価には多くの複雑な要素が絡み、実際政治家一人の発言でも大きく動きます
私自身バルチック海運指数に限らず、雇用統計や失業率などの景気関連指標をみて直接的に売買することはありません
しかし中期的には好景気~不景気~好景気といった景気のサイクルが実在するのも事実である為、ある程度は景気循環を意識して投資判断は行いますが、断定的な予測はしないという事です
それでもバルチック海運指数の動きは頭の片隅に置いておいてもよさそうです
応援ぽちっといただけるとうれしいです
指標に関する記事です