シーゲル教授の過去約50年に渡る調査結果および2005年以降のバンガード社ETFのデータより上位3種をセレクトして開始した米国ETFによるセクター戦略
※VGT:情報技術セクターETFはセクター再編もありひとまずQQQで代替
VT:全世界株式ETF、VTI:全米株式ETF、SPY:S&P500ETFなど総合指数だけでは飽き足らない人にとってセクター戦略は定番のひとつ手法と言えると思います
こちらは単純に過去のデータからそのセクターETF3種の最適な組み合わせを検証した記事ですが、自分なりに納得できる投資を模索しています
セクター戦略と景気動向
先ほどの記事において1種追加して4種にすると仮定した場合ではVDE:エネルギーセクターETFを検討しました。そのときもいわゆるセクター循環も考慮すればVDEへの投資も検討の余地ありとしましたが、単に過去データから最適な割合を検討するだけでなく、セクター循環をもう少し確認してみたいと思います
景況感とセクターリターン
米国株式セクターには大きく分けて以下の二つに大別されています
- 景気敏感セクター
- ディフェンシブセクター
それらのセクターが企業景況感の数値および方向性で循環するというのがセクター循環と呼ばれるものです
出典:JPモルガンGuide to the Marketsより
上記のデータ上では景気敏感セクターはその名のとおり景況感がいい時は超過リターンを期待できるものの景気悪化時にはマイナスリターンに沈みます。一方でディフェンシブセクターもその名のとおり景気後退時にでも下落幅が低くまた完全に景気が悪化した状態でも小幅ブラスかわずかなマイナスに留まります。
これらを眺めると現在のセクター戦略ETFの3種は好況時にはQQQ:NASDAQハイテクETFが活躍し、景気後退局面ではVHT:ヘルスケアセクターETFがしぶとくリターンを得て、景気の底ではVDC:生活必需品セクターETFが踏みとどまってくれるというバランスがそこそこ取れた構成だと思います。
仮にもう一種追加するとなるとやはりVDE:エネルギーセクターETFか、またはVCR:一般消費財セクターETFを検討する事になりそうです
セクターの偏りを防ぐ
次に同じ資料でセクターに関する上のようなページを見かけました。
右側のグラフは各セクターの相対リターンを示すものですが、情報技術セクター、エネルギーセクター、ヘルスケアセクターでかなり尖った形をしておりそれぞれ株価急落とも重なっているように見えます。とは言っても2008年のリーマンショックのきっかけは住宅ローン担保証券に始まった経済危機であり、原油価格に大きく左右されるエネルギーセクターが与えたものではありませんが、特定のセクターが行き過ぎる傾向にあるというのは分かります。
これらを見ても特定の株式、特定のセクターに偏ると乱高下も大きい為、長期にはS&P500をアウトパフォームを期待できるにしろ、信頼できるなんらかの指標が過去の中央値より何%超過したら、割高と判断し該当セクターETFは買い増しを控えると行った手法や、同様に割安なセクターETFを追加購入していくのがよさそうです。今ですとVDC:生活必需品セクターETFでしょうか。チャートの動きも見て見る事にします
QQQ、VHT、VDCのチャート
Portfolio1 :VHT:ヘルスケアセクターETF
Portfolio2 :VDC:生活必需品セクターETF
Portfolio3:QQQ:NASDAQ100ETF
Benchmark:S&P500
2005年からリーマンショックも含めたデータですが対象としたセクターETF3種全てがS&P500をアウトパフォームしています。景気後退局面ではVDCの下落が少ないのが分かりますが2017年以降は上昇が鈍化し長期金利が上昇してきた2018年以降は下落傾向にあります。これは高配当株を多く含むVDCのひとつ特徴ですが、逆にVHT、QQQはそれぞれタイミングはずれながらもそれぞれしっかり上昇していっています。
先ほどの景況感ごとのリターンの表から今後予想されるのはQQQが先に下落しVHTは多少踏みとどまるといった動きでしょうか。既に鈍化、下落傾向にあるVDCは金利の上昇とともにまだ売られていきそうです。この1年半ほどの詳細な値動きも見てみます
2017からのチャートです
長期金利の上昇の影響で高配当株が売られた影響で、それらを比較的多く含むVDCは横ばいまたは下落傾向なのが顕著です。QQQはすでに2月初の大幅下落前の高値を更新しておりまだまだ勢いは続きそうです。とりあえずセクターETFは均等の割合ですが、これらの状況を踏まえて追加投資の割合を検討していこうと思います
セクター戦略と景気動向についてまとめ
今回のこのJPモルガンのGuide to the Marketsを見る限りページのタイトルが「終盤戦」となっており、米国の長短金利差の縮小、過去最低水準の失業率などのデータを見る限り本当に景気の終盤に差し掛かっていると見るべきなのかもしれません。一方でS&P500のEPSも伸び続けており、すぐに景気悪化する事はないという記事も見かけるのでやはり景気の転換点は把握するのはプロでも実質不可能なぐらいですから分かりません。2019年~2020頃がとりあえずひとつポイントになりそうですが目先は債券によるリスク低減策も検討しつつ長期的には株式セクターETFで超過リターンをしっかり掴みたいと思います
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