ハーバード大学図書館
株式投信積立てでもし入学時にリーマンショックが来たら
前回の記事で学資保険について再考してみました
記事最後でお知らせしたように学資保険の変わりに100%株式投信などで運用した場合のシミュレーションを行ってみます
学資保険の変わりに活用したいジュニアNISAは5年+ロールオーバーのため、単純積立になりません。つみたてNISAか課税口座で教育資金を積み立てる場合を考えて見ます
単純期待リターン
多くの人がこのような積立シミュレーションを行っていると思います。
米国市場の過去のリターンは約6.8%といわれています。少し控えめに6%で計算してみると以下のような結果になります
期待リターン6.00%で18年間積み立てば返戻率はなんと179.3%です
しかし賢明な人ならこの結果を見て株式投資だけでOKと判断しないですよね。これはリスクをまったく考慮せず過去の数十年以上の結果リターンからだけはじきだしたものでこれをそのまま鵜呑みにして期待するのはやはり危険です。
大学入学まで18年間というとそれなりの中期投資となりますが実際に米国株式でS&P500を対象とする投資商品に積立て行ったらどうなるか。しかもそれが最悪のタイミングだった場合をシミュレーションしてみました
大学入学のタイミングでもし暴落が来たら
近年の2大ショックの暴落ピークで大学入学を向かえるという設定です
- 毎月100ドル分S&P500連動のインデックスファンドを積み立てを想定
- 国内投資信託の積立投資と同じドルコスト平均法
- 手数料、税金は考慮しない
例)1985年3月のS&P500の値は180.66ドルなので0.55口購入できる
この条件で見ていきます
ドットコムバブルの場合
インターネット普及に伴いIT関連銘柄が一躍脚光を浴びた結果、実体を超えてIT関連銘柄が暴騰しその後はじけたドットコムバブル。
2000年頃のピークを向かえ2003年2月まで3年かけておよそ35%下落しました。
私個人はこのピークを少し超えたところで株式投資を始めてアマゾン株:AMZNを買ったのは今となってはいい思い出です
(いや、ものすごく悔しいです)
www.kakeyforward.com
その18年前。1985年は映画バック・トゥ・ザ・フューチャー が公開された年です。その1985年3月生まれたと仮定し毎月一定額を積み立てていった結果を見てみます
ドットコムバブルまでのS&P500チャートと積立投資資産
比較の為、単純に利率なし積立貯金も掲載しています
米S&P 500 過去のレート - Investing.comを元に管理人作成
結果として1.88倍になる計算です。この間の年間リターンは6.5%と過去の米国市場のリターンとほぼ同等の数字を得られました。年利1%との差は大きいですね
チャート上は当初の10年は地味に見えますがそれでもS&P積立ては2倍以上にはなっており、確実に株式投資の恩恵がが得られています。
87年の少し下がっているのはブラックマンデーですね。当時は史上最大規模の世界的株価大暴落と言われたようですが、このチャートではぜんぜん大した事ないように見えてしまいます
そして96年ごろからバブルピークに向かっては4年ほどで実に3倍にもなっています。この間に順調に資産は増えていき、結果としては歴史的なバブルがありながらも18年という期間投資し続けることである程度のリターンを得られるという事が分かりました
しかしドットコムバブルのピークでは65,000ドル以上まで増えたもののバブル崩壊で40,000ドルまで目減りしてしまっています。
株価暴落の予見は難しいものの教育資金積立の終盤は債券化、または現金化しリスク低減を図る方ががよさそうですね
リーマンショックの場合
10年前、100年に一度の金融危機といわれたリーマンショックです。こちらは経験された読者の方も多いと思います
リーマンショックまでのS&P500チャートと積立投資資産
米S&P 500 過去のレート - Investing.comを元に管理人作成
こちらは結論から言うと最終マイナスリターンです。
先ほどのドットコムバブルも乗り越えながらも最後の1年で致命的なマイナスリターンが響きました。リーマンショックとはそれほどの大暴落だったのです
結果論としては年利1%の金融商品にしておけばと考える方もいるかもしれませんが、いざグラフ化して感じたのは10%程度のマイナスで済んでいるので思ったより被害は少ないという印象です。
この記事を書く前はもっと厳しい状況を想定していたのでこの結果は正直意外です。とはいえピーク時には40,000ドルを超えたいた状態から50%ダウンです。しかもそれがほぼ最後の1年間で失っているわけですから恐怖ですね
割安に購入できた8年ほどを除外して、期間10年に限って1998年から計算するとかなりマイナスになるので、そういった最悪のケースも見越し預貯金か学資保険などの原則元本保証で少しでも利回りのいい商品も併用したいと思いました
まとめ
- 18年という期間は景気サイクル1~2回。開始タイミング次第で結果が大きく変わる
- 近年もっとも最悪のケース。リーマンショックまでの18年間でも最終ー10%
- 株式100%はやはりリスク大。現金、債券などでリスク軽減も考慮したい
- 使用時期は明確なので運用は慎重を期したい
- 現金、学資保険などの別資金があれば暴落時は投資分はやり過ごし回復待ちもあり
大学入学時にリーマンショックが来るという想定しうる最悪のケースでもマイナス10%という結果でした。
18年間という期間がリスク低減に効果を発揮しているようです。
これは教育資金に限らず中長期に積立てする事に意義を感じる結果でもあります
加えて両結果とも分配金をまったく考慮していませんが、S&P500関連のETFでは約2%ほどの分配金がありますので実際のリターンにさらに上積みが期待できます。
使用時期が明確という事も何回も書いていますが、株式以外でも資金を用意できれば投資分は株価暴落時はやりすごすという選択も可能です。
リーマンショックですら3年で回復している訳ですからね。
結局はリスク資産と無リスク資産のバランスが大事という当然の帰結になるのではないでしょうか。
どれぐらいのバランスでやるかは個々人の環境によると思います。
私の場合、現時点で作成したCF:キャッシュフロー表では公立であれば高校まで月々のCF内。3人分の大学資金も国公立か私立文系なら現金である程度用意できているので、許容できるリスクを確認して一定量はジュニアNISAなどを活用し株式投信、ETFなどのリスク資産へも投資していきます。
ジュニアNISAでどのような商品を選択するかはまた記事にしたいと思います
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